俺とフィデリティ証券(FIREとDIE WITH ZEROを思い出させる出口戦略も紹介)
俺とフィデリティ証券
ネットで証券会社として言及されるのは、楽天証券とSBI証券ばかり。
まあ、利便性や投信の品揃えを考えると、当然だし、それでいい。
かつては、買いたい投信に限って、口座がない証券会社でないと買えなかったりしたので、その都度、口座を開設していて面倒だった。
俺のメインの証券会社はフィデリティ証券だ。
フィデリティにした理由は、俺の給料振込口座である新生銀行から口座引落で投信積立ができたから。
今では楽天やSBIでもできるが、俺が2008年に投信積立を開始したときは、フィデリティぐらいしかできなかったと思う。
もし、給料振込口座からの積立ができないと、手動で銀行口座から証券口座に資金移動させねばならず、大変面倒だ。
俺はそれが嫌だったからフィデリティにした。
これから投資を始める人には声を大にして言いたいが、手動処理は極力しないようにしよう。
長い職業人生、仕事に没頭する時期が必ずあるが、このときも確実に投資できるよう、自動化の仕組みを整えておこう。
今は、クレカ決済してポイントを貯められる証券会社もあるから、便利でお得なやり方を構築しよう。
キャッシュバック
2021年末は楽天証券のポイント改悪が話題になった。
これまで投信残高に応じて恒常的に付与されていたポイントが、基準額達成時に1度だけ付与されるよう改悪されたのだ。
そのため、同じようなポイント制度があるSBIへ乗り換えるべきか議論された。
ところで、フィデリティには信託報酬現金還元の制度がある。
残高が3,000万円以上のとき、信託報酬のうちフィデリティに配分される額の10%相当額を毎月キャッシュバックするものだ。
俺の場合、投信残高約4千万円で、還元額は月額650円位だ。
FIREのはしり?
手元にフィデリティのニュースレターがある。
たぶん今はもう発行していないと思うが、定期的に郵送で届いていたものだ。
その2015年7月号に、「95歳で資産0円!逆算の資産準備」という記事がある。
今読むと、FIREムーブメントと書籍「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」を足して2で割ったようなことが書いてあり、おもしろい。
要点は
30代で毎月4万円
40代で毎月5万円
50代で毎月6万円
積み立て、年率3%で運用して60歳時点で約2800万円用意し、以後入金をストップする。
そして、75歳まで同じく年率3%で運用するのだが、このとき年率4%で引き出し、生活費に充てる(引出率の方が大きいので、資産は徐々に減っていく)。
75歳になったとき、残金は2400万円になっているのだが、これを全額引き出し(すなわち運用をやめる)、95歳になるまでの20年間、毎月10万円を生活費に充てる、というものだ。
2015年時点で投信の出口戦略についての資料はあまりなかったことを考えると、上記は先見の明があったと言っていいのではないか。
特に、3%で運用しつつ4%引き出すという、資産が減ることを敢えて行うという割り切りが気持ちいい。
また、老後に暴落が来たらどうしようという不安を、人生最後の20年は投資をしないという方法で回避するというのもおもしろい。
いずれも、「あの世にお金を持っては行けない」という価値観が見て取れて、痛快だ。
この記事を書いたのは、フィデリティ退職・投資教育研究所所長 野尻哲史氏。
2022/01/24~28、日経新聞夕刊に「実践人生100年マネー道」という記事が5回シリーズで掲載されたが、これは同氏の会社員人生を辿るものだった。
爆誕!!VYM100万円男!!(その3)
高配当ETFの弱点
高配当ETFの弱点は次の2点に集約される。
(以下は,米国株ETFの話。日本株高配当ETFにはいい商品がないし,そもそも日本株の成長性そのものに難があるので,候補にすらならない。残念だ。)
・分配金を受領する度に二重に課税される
・こまごまとした手間がかかる
細かく見てみよう。
分配金を受領する度に課税される
人生のあらゆる面において,良い事をするという作為と,悪いことをしないという不作為の両面で物事に当たるのが非常に大切だ。
「健康」で言うなら,8時間睡眠という作為も大事だし,タバコを吸わないという不作為も大事だ。
分配金が出ると,投信だろうがETFだろうが,課税される(厳密には,投信の特別分配金は非課税だがここでは割愛)。
税金は,ニコチンが体を蝕むように,資産を蝕む。
だから,今日びの投信は分配金を極力出さない。←逆にこの点が無頓着な投信はダメ投信だ
だが,VYMは年4回,分配金を出す。
しかも二重課税
しかも課税は日米両国からなされる。つまり二重課税だ。
(税率は米国が10%、日本が20.315%)
なお,米国課税分については,確定申告(外国税額控除)すれば還付を受けられるが,還付額は各人で異なる(分配金以外の所得の多寡により,総合課税か申告分離課税の有利な方を選択することになる)。
こまごまとした手間がかかる
ざっと列挙すると,円をドルに替える手間,分配金を再投資する手間,確定申告(外国税額控除)する手間がかかる。
これらは投信積立なら、すべて回避可能だ。
もっとも,ドル転は円貨決済で購入すれば不要だし,分配金も再投資せずに生活費に使うなら不要,確定申告も外国税額控除による還付を放棄すれば不要だが,順に,為替手数料を節約したいなら自分でドルに両替した方が得だし,再投資も資産形成期に複利効果(利益から利益を生む効果)を得るためには必須だし,確定申告も実施すればノーリスクでリターンが望めるのにこれを放棄するのはいかにももったいない。
米国ETFは中高年向き
以上のとおり,投信と米国高配当ETFにはそれぞれ一長一短あるが,俺は,前者は20〜30代の若者,後者は中高年に向いていると思う。
若いときはリスクを取れる(損失を受けても時間を味方につけていずれ取り戻せる)ので,資産の最大化を図るべきだ。
このとき,米国高配当ETFの二重課税は成長の足かせになる。
また、長いサラリーマン人生の間ずっと、分配金を手動で再投資したり、毎年確定申告するのは大変面倒だ。
よって、若者には投信が最適解になる。全世界株式インデックスを給与振込口座から毎月積み立てればよい。
手続きは初回だけで、リバランス不要。究極のほったらかし投資だ。
一方、中高年になると出口戦略が重要になる。引退後のことを考えると、取り崩しなしで分配金が入る高配当ETFは魅力的だ。←前回の記事参照
こう考えると、今年50歳になる俺の投資の最適解が投信から高配当ETFに移行したのだと思う。
以上が、これまで投信を積み立ててきた俺が米国高配当ETFにカジを切った理由だ。←長かった!
おっと、なぜVYMを選んだか、どうして毎月100万円購入するのかの説明がまだだった。それは次回。
【2022年1月分】祝!初めてのVYM100万円一括購入!!
初購入
まだ,VYMを毎月100万円購入することにした経緯を書き終わっていないが,めでたく初回購入が終了したので,ご報告したい。
本当は毎月1万ドル買う男
使っているのは,SBI証券。
毎月20日に1万ドル購入する設定にしている。
そう,俺はVYM100万円男を名乗っているが,本当はVYM1万ドル男だ。←1万ドル以内で最大口数を購入するという意味。
円換算では100万円を超えているのだ。だから「1万ドル男」にすべきか迷ったが,「100万」のインパクトをとることにした。
記念すべき初回購入は上のとおり。
86口購入できた。
聞きしに勝るサイトの分かりづらさ
ネットでは,証券会社と言えば,楽天証券とSBI証券を勧める声が圧倒的だ。
俺のメインはフィデリティ証券で,ずっと一般NISAをやってきた(今年分はロールオーバー済み)。
楽天はイデコで使っているのと,ポイント目当てで,投信のクレカ積立をやっている。
SBIは大昔に口座だけ作って完全放置だった(当時の名称は,「SBIイー・トレード証券」)。
ネットでは,画面が分かりやすい,クレカ積立で楽天ポイントがたまるのがお得として,まず楽天証券を勧める意見が多いと思う。
次点はSBIで,米国株積立ができるのと,住信SBIネット銀行を経由するとドル転コストが安いことが,おすすめの理由のようだ。←前者は,現時点では楽天やマネックスでもできるので,SBI唯一のメリットではない。
ただ,SBIの悪い点として,画面が整理されておらず,分かりにくいという声が多い。
SBIは老舗旅館
俺も今回,実質的に初めてSBIを使ってみて,それを実感した。
まるで,増改築を繰り返した老舗旅館のようで,本館と新館と別館が迷路のようにつながって,その先には新別館があるみたいな感じで,自分がどこを通って今の場所にいるのかさっぱり分からない。
次回ログインしたときにここに来れる自信もない。
これが旅館なら,「新別館へは床の赤い線に沿ってお進みください」と言ってくれるやさしい仲居さんがいるが,ここにはいない。ほしい。
さっそく値下がり
現時点での損益は-36,153円。
まあ,10年後引退したときの分配金が目当てだから,全く気にならない。こんなものはノイズだ。
下がるなら下がれ。安く買えてラッキーなだけだ。
爆誕!!VYM100万円男!!(その2)
投資の王道
投資の王道は,長期・分散・積立だ。
俺はファイナンスやマーケットのことは何も知らないが,このことは知っている。
だから,株式投信を2008年から愚直にドルコスト平均法で積み立ててきた。
株式市場は,短期の価格変動はあっても,長期で見れば右肩上がりだ。
だから,今20代,30代の若者は一刻も早く株式投信の積立を始めて,この右肩上がりの恩恵を受けるべきだ。
君らの時代,残念だが年金支給開始年齢は引き上げられ,支給額は下がるだろう。だから,時間を味方につけて自衛すべきだ。
暴落は不可避
だが,投信の積立にも弱点がある。
株式市場が暴落した場合,資産価格が大幅に減少してしまうのだ。
しかもタチが悪いことに,暴落は誰にも予見できず,いつ収束するか分からない。
もっとも暴落が積立前半に起きたのなら,むしろ歓迎すべきだ。
安価に大量に仕込むことができ,暴落から回復したとき,評価額が一気に跳ね上がるからだ。←だから,俺も今まで気に留めなかった。
問題は引退して,いざ資産を取り崩そうというときに起きる暴落だ。
一般に,投信を4%ルールで取り崩す場合,高い確率で資産は枯渇しない(中央値ではむしろ増加する)が,引退直後に暴落にあった場合,暴落と売却のダブルパンチで,残額はみるみる減少し,老後生活が破綻するリスクが格段に高くなる。
まあ,俺が引退するとき,まさか暴落は起きまいと思う(ただの願望だが)。
(”だけど,ITバブル崩壊,リーマンショック,コロナショックと何だかんだで結構暴落起きているなあ。”←心の声)
あるyoutuber(「しゅんの投資・医学のお話し」)は
「ざっくり言うと、米国株の場合
3年に1回くらいは、-10%がありうる。
10年に1回くらいは、-20~30%がありうる。
20-30年に1回くらいは、-40~50%がありうる。」
と言う。
出口戦略,悩むなあー。
高配当ETFに出会う
そんなときに知ったのが,「高配当ETF」だ。
「高配当ETF」とは,高配当株式で構成された上場投資信託のことだ。
そのメリットは,「売却不要で分配金が入る」ということに尽きる。
具体的に言うと,
A:「売却不要で分配金が入る」=保有残高が減らない
B:「売却不要で分配金が入る」=売却のタイミングに悩まずに済む
ということだ。
特にBについて,売却直後に値上がりしたら,「損した!」となり,精神衛生上大変よろしくないが,高配当ETFはそもそも売却しないので,これがない。
また,高齢になって,ちまちま残額の4%を計算して,正確に売却の注文をするなんて果たしてできるのだろうかと思うと,これが不要な高配当ETFは大変魅力的だ(なお,Aについて,「実質的には売却と同じだ」との見解があるが,ここでは触れない)。
以上の特長に着目し,高配当ETFを「マネーマシン」と呼ぶ人もいるらしい。←なんと甘美な響き
こうなると,「高配当ETFって最高じゃん!」となるが,もちろん,弱点もある。(その3に続く)
爆誕!!VYM100万円男!!(その1)
決 心
俺は決めた。
2022年,毎月100万円,VYMを買うことを!
このブログは,今年50歳になるインデックス投資家が,高配当ETF「VYM」を毎月100万円購入する軌跡を記録するものである。
経 緯
2008年8月,俺は投信の積立を始めた。
きっかけは,「金持ち父さん貧乏父さん」を読んだことだ。
キャッシュフロークワドラントの「I」,すなわち投資家になろうと思ったのだ。
当時の投信の信託報酬は,今思えばめちゃくちゃ高かった。
投信を積み立て,ある程度溜まったら信託報酬が安い米国ETFに乗り換えるなんて話があったくらいだ(いきなり米国ETFを買わないのは,当時の購入時手数料が高く,少額の購入だと手数料負けするから)。
そして時は流れ,来年50歳になる2021年,投信の評価額は4000万円位になっていた。
定年まで10年。あと2000万円ほど投信を買えるので,6000万円+αで引退だなと思っていた。
FIRE!
そうしたら,突然のFIREブームだ。
「トリニティスタディ」,「4%ルール」という言葉を初めて知った。
そして,「出口戦略」なる言葉も。
”「出口戦略」かあ,そう言えば,今まで買うばかりで,売ることは考えてなかったな”と思った。
こうして「出口戦略」でググるうち,「機会リスク」という言葉に出くわした。
要するに,引退直後に株式市場が暴落すると,老後生活が破綻するというものだ。
驚愕した。
今まで,暴落なんて,ただ投信が安く買えるだけと思っていた。
引退直後に暴落が来たらどうしようと不安になった。
実は俺は,投信積立とは別に500万円でS&P500のETF(東証に上場しているヤツ)を短期で売り買いし,最近は1年で給料1か月分くらい稼いでいた。
そのときは気分は良かったが,今思えば,この10年,米国株は絶好調だったので,そのくらい利益が出ても何ら不思議ではない。
その金で普通に投信を買い増しておけば良かったと思う。
そして,2021年,米国株はバブルだという声が聞こえ始めた。
俺は暴落に備え,東証ETFの売買をやめ,いつでも資金を投入できるよう待機していた。←コロナ暴落時は仕事が多忙で,株式市場のことなど眼中になかった。
だが,暴落は来なかった。
「機会損失」という言葉が頭をよぎった。
焦りを感じながら,引き続き「出口戦略」をリサーチしている中,出会ったのだ。
「高配当ETF」に。(続く)